在宅勤務中での事故や怪我は労災が認められるのか?
結論から先に申し上げますと、在宅勤務中であっても「業務時間内」かつ「業務と事故やケガとの間に因果関係が認められれば」労災保険の適用対象となります。
コロナ感染の影響から世の中テレワークで働く人が増えましたね。テレワークで仕事していると事業場にいるわけではなく使用者の監視下にいるとは言えないんじゃないかと考え労災認定は難しいのでは?と考えられる方もいるかもしれませんがそんなことはありません。
まずは労災として認められるための条件から見ていきましょう。労災として認められるためには「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの条件を満たす必要があります。
それぞれ見ていきましょう。
・業務遂行性
業務遂行性とは、事業主の指揮命令下にある状態のことです。
事業主の指揮命令下にある場合には、次の3つのがあります。
1.事業主の指揮命令下であり、管理下で業務に従事している場合
例. オフィスで業務に従事している場合
2. 事業主の指揮命令下で、管理下だが、業務に従事していない場合
例. 休憩時間中、仮眠中など
3. 事業主の指揮命令下だが、管理下を離れて業務に従事する場合
例. 外回り、出張、テレワークなど
テレワークは上記3.に該当し「業務遂行性」が認められます。
但し、個人的な用事をこなすために業務を離れた場合、その時間は業務遂行性がないと判断されます。
続いて「業務起因性」についてはどうでしょうか?
・業務起因性
業務起因性とは、労働者の傷病と業務との間に因果関係があることです。
なお、ここでいう業務とは本来の業務以外にも以下のような業務に付随する業務も含みます。
・業務に付随する行為
例:掃除、後片付けなど
準備的な行為
例:着替え、体操、朝礼など
生理的な行為
例:トイレ休憩、タバコ休憩など
最後に労災として認められるケースと認められないケースを挙げておきましょう。
・労災として認められるケース
・仕事の書類を製本しているときにカッターで指を切った
→業務上の行為によって生じた怪我であるため。
・就業時間中にトイレに行こうとした際、転倒して怪我した
→トイレに行くことは上記生理的行為にあたるため。
・在宅勤務になってデスクワークの時間が増えて、眼精疲労や頭痛、腰痛を患った
→厚生労働省の「腰痛の労災認定」基準を満たしている場合には労災認定が受けられる。
・労災として認められないケース
休憩時間中に昼食を買いに出かけた際、交通事故に遭って怪我した
→仕事場から離れている際の怪我であり、業務遂行性が認められないため。
業務中に子どもが泣き出したので面倒を見ていた際、転倒して怪我した
→仕事を離れて育児をしている際に負った怪我であり、業務遂行性、業務起因性ともに認められないため。
終業時間を過ぎたが残業の申請をせずに作業を続けていた際に誤ってパソコンを落として怪我した
→申請していない時間の業務は就業時間外にあたり、業務起因性の立証が難しいため。
いかがでしたか?
テレワークで事業場を離れて仕事をしていても「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの条件を満たせば労災が認められることがおわかりいただけたかと思います。