もし知らぬうちに自分が財産相続人になっていたら...
皆さん、こんにちは。
今日も暑い日が続いていますね。体調管理には気を付けて!
本日はタイトルにありますように私の専門外のお話しです。
私が担当している企業さんに表題のような相談が舞い込んできました。
とある兄弟の長男さんが亡くなり、その兄弟に相続権が回ってきて困っているとのこと。
その長男さんの娘とその子3人は既に相続放棄をしており長男さんの両親も既に他界。
長男さんの兄弟が知らぬうちに相続人になっておりトラブルになっているようです。
幸い借金とかはないようですが処分できそうにない廃墟同然の建物と土地が残っているようです。
その兄弟に相続する意思はなくどうすればよいかとの相談だったようです。
私は弁護士や司法書士のような民法の専門家ではないのですがこの件について私なりの見解を
書いてみたいと思います。
※間違っていたらゴメンなさい。
選択肢としては2つあるかなと思います。
・兄弟も全員相続放棄する。
・相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらう。
相続放棄の期限は3カ月というのはよく知られていますがよく勘違いされているのがその起算日です。
被相続人が亡くなってから3カ月ということではなく「自己のために相続の開始があったことを知った時
から3カ月」とされています(民法915条1項本文)。
今回のケースですと自分がいつの間にか相続人になっていたわけですからつい最近知ったことになります。
ですので兄弟も相続放棄すれば全員放棄となるわけです。
では、全員放棄した場合の財産管理は誰が行うのでしょうか?
旧民法では「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。(民法940条1項)」と定められていました。
旧民法では最後に相続人となった人が管理責任を負うということになってしまいます。
2023年4月1日改正の改正民法では以下のようになっています。
(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条 相続の放棄をした者がその放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している場合には、相続人又は相続財産法人に対して当該財産を引き渡すまでの間、その財産を保存する義務を負う。この場合には、相続の放棄をした者は、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存すれば足りる。
太字の部分が追加になっていることがおわかりになるかと思います。
財産を現に占有している場合とは被相続人が亡くなったときにその財産を管理していた人となるわけです。
今回のケースに当てはめますとこの兄弟は被相続人の財産を管理していたわけではないので相続放棄すると
財産管理義務は再び娘さんに戻ることになります。
無用なトラブルを避けるために相続放棄する場合は次順位の人とよく話し合って決めるようにしたいものですね。
長くなってしまったので「相続土地国庫帰属制度」についてはまた機会があれば触れてみたいと思います。
本日のお題についてはここまでです。